物件を選ぶときには、日当たりのよい南向きの部屋が人気ですよね。
「日当たり良好」や「人気の南向き」などのウリ文句もよく目にします。
でも、南向きの部屋は、本当にそんなによいものなのでしょうか。
日当たりがよく、人気のある南向きの部屋ですが、やはりデメリットもあります。
今回は、そんな一番人気の南向きの部屋のメリットとデメリットをまとめました。
ほかの方角についても簡単にまとめたので、比較してみてください。
目次
まず初めに、南向きの部屋がなぜ人気なのかを探ります。それには、次の3つの理由があるのではないでしょうか。
第一に、日当たりがいいことが挙げられます。これは、南向きと聞いて、誰もが真っ先に思い浮かべる理由ですよね。この日当たりのよさが、第二、第三の理由につながります。
第二に、室内が明るくなることが挙げられます。南向きの部屋は日照時間が長いので、日中は室内が明るくなります。明るく、暖かい室内は、照明や暖房を使う回数が減り、電気代の節約にもなります。
また、明るさは気分にも影響しますよね。暗い部屋では気分も暗くなりがちですが、明るい部屋は気持ちも明るくしてくれます。
第三に、湿気に強いことが挙げられます。日当たりがいいと、洗濯物も乾きやすく、湿気によるカビの発生も抑えられます。
日当たりが悪く、暗くジメジメした部屋は、いくら換気してもカビに悩まされ、健康面からも対策に躍起にならざるを得ません。明るくさわやかな部屋は、健康的で経済的な生活が送れると言えます。
南向きの部屋で暮らすことの魅力・メリットには、何があるのでしょうか。人気の理由から、メリットにも次の3つが挙げられます。
1つめのメリットは、1日の日照時間が長く、明るいことです。
一部の論文では、日の当たらない生活と比べ、うつ病の発症率が低いとされています。
「明るい日の光」は体を目覚めさせ、意欲的な気持ち・気分を呼び覚ますスイッチとなり、日中活動的に過ごせます。
午前中のうちから照明を点けなくても十分なくらい明るく、外がそれほど暗くなければ、曇りでも自然の光だけで過ごすことができるので、日中の在宅時間が長いという人には、最適です。
また、日中太陽の光を浴びると、夜の睡眠が深くなり、朝もすっきり目が覚めます。日照時間は気分や生活リズムにもよい影響を与えるというのが通説です。
2つめのメリットは、夏場を除いて、電気代が比較的安く抑えることができることです。
特に、冬場は太陽の高度が低くなるので、部屋の奥まで日の光が入りやすくなります。そのため、長い時間日が当たれば、部屋全体が暖められ、冬場でも暖かく過ごすことができます。
照明や暖房を点けなくても、室内が明るく暖かいので、昼間家にいることが多いという人でも、電気代が安く済みます。
電気の比較インズウェブの調査によると、東京の南向きの平均的な木造住宅(10畳)の部屋では、1ヵ月のエアコン使用量が冷房1,710円、暖房3,289円という結果が出ています。
このデータを基に、仮に10時~15時まで暖房を使用しなかったとして電気代を計算すると、電気代を1ヵ月約944円節約できることになります。
逆に、北向きの部屋で1日中暖房を使っていれば、室内の温度と設定温度との差が大きいことから、電気代は3,289円よりも多くかかる可能性があります。
照明にかかる電気代を含めると、南向きと北向きではさらに差が広がるでしょう。
【出典】電気の比較インズウェブ「エアコンの電気代はいくら?節約方法は?」
3つめのメリットは、洗濯物が乾きやすいことです。
洗濯物が乾きにくいと、乾燥機にかけたり、部屋干しにしたりと、手間がかかる上、なかなか片付かず面倒です。
乾燥機にかければ、さらに電気代がかかり、部屋干しにすれば生乾きの臭いも気になります。
ちなみに、洗濯機の乾燥機能には、洗濯時の28倍もの電気代がかかるというデータも出ています。朝干して夕方には取り込んで片付けられるというのは、理想的なサイクルです。
逆に、南向きの部屋で暮らすときに困ることは何でしょうか。南向きの部屋のデメリットとその対策をまとめます。
1つめのデメリットは、全ての部屋が明るいわけではないという点です。ワンルームなら話は別ですが、複数の部屋がある場合、明るいのは南向きにある部屋だけ。
南向きにないほかの部屋は、それほど明るくありません。南向きの物件を希望する場合には、日当たりがいいのはどの部屋なのか、日当たりをよくしたい部屋が南向きにあるのか、間取りを確認しましょう。
2つめのデメリットは、夏場は部屋中が暑く電気代がかかるという点です。夏場は太陽の高度が高く、日光が部屋の奥までは入りにくいのですが、長い時間照らされるので部屋の中が暑くなりすぎてしまいます。
特に上の階の部屋ほど直射日光が当たるので、部屋の温度が上がりやすい傾向にあります。そのため、冷房が欠かせず、電気代がかかってしまいます。すだれやグリーンカーテンなどで窓際に日陰を作り、少しでも日差しを遮る工夫をしましょう。
3つめのデメリットは、家具やファブリックなどが日焼けしやすいという点です。ファブリックとは、布製のインテリアのこと。
日当たりがいいので焼けてしまうのはある程度仕方のないことですが、あまりにも速く日焼けが進んでしまうのも避けたいですよね。すだれやグリーンカーテンなどで日差しを遮ることはもちろん、遮光性の高いカーテンを使う、常にレースのカーテンを閉めておくなどして、直射日光が当たらないようにしましょう。
4つめのデメリットは、東向きや西向き、北向きの部屋と比べると、価格が高く設定されているという点です。
それは、南向きの部屋は人気が高いということもありますが、マンションなどの価格設定には、日照時間が関係するからです。そのため、日照時間が長い南向きの部屋は、高めの価格設定になってしまいます。
ほかの方角の部屋より費用がかかってしまうのが、デメリットと言えます。方角による相場の違いと、解決策については後述します。
最後に、南向きの部屋の相場について触れておきます。
南向きの部屋は、ほかの方角の部屋に比べ、価格が高い傾向にあります。カカクコムが運営する不動産・住宅情報サイト「スマイティ」によると、方角による価格差は次のように図解されています。
【出典】スマイティ「知ってお得なマンション選び「価格設定の法則」」
この図は、南向きの部屋の価格を基準とした場合、その他の方角の部屋の価格が南向きの部屋の価格より何%安くなるのかを表しています。
これによると、最も安い北向きの部屋は南向きの部屋の80%~90%の価格で、次いで西向きが91%~95%、東向きが93%~97%の価格設定となっています。仮に南向きの家賃が10万円とすると、そのほかの方角の部屋の家賃は次のようになります。
南向き:100,000円
東向き:93,000円~97,000円
西向き:91,000円~95,000円
北向き:80,000円~90,000円
これはあくまでも向きによるモデルです。実際には向き以外の条件も加味されるので、現実的な設定金額はもう少し変わってくると思います。
とは言え、物件の価格には、日照時間が大きく関わってきます。そのため、日当たりのよい南向きの部屋は高く設定されているのです。
費用を抑えたいときは、ほかの方角の部屋も検討してみることをオススメします。
南向きの部屋は日当たりがよいことからメリットもありますが、逆に日当たりがよすぎることからデメリットもありました。
日の当たる時間帯や部屋の階数、ライフスタイルなどによっては、日中の日照時間の長い南向きにこだわることはないかもしれません。
方角による日当たりの特徴をみてみましょう。
◆南向き
日中の日照時間が長い。
昼間在宅していることが多い人にオススメ。
上層階の部屋は、日当たりがよすぎて暑い場合がある。
◆東向き
朝の日当たりがよい。
朝方の人や午前中在宅していることが多い人にオススメ。
午後は早めに暗くなる。
◆西向き
夕方の日当たりがよい。
夜型の人や午後在宅していることが多い人にオススメ。
朝が暗い。
◆北向き
1日を通して、あまり日が当たらない。
上層階の部屋で、日当たりがよすぎるのを好まない人にオススメ。
日中でも照明を使う機会が多い。
例えば、日中は学校や仕事で家に誰もいないことがほとんどという家族なら、必ずしも南向きである必要はありませんよね。それより、朝日を浴びて気持ちよく1日のスタートを切りたいというのであれば、東向きの部屋もいいでしょう。
家族の状況や部屋の階数など、様々な条件を考慮して、ベストな方角を選ぶことで、費用を抑えても満足のいく部屋で過ごすことができるのではないでしょうか。
南向きの部屋の最大のメリットは、日当たりがいいという点ですが、同時に日当たりがよすぎるというのがデメリットにもなってしまいます。
また、人気や日照時間の観点から、南向きの部屋は価格が高く設定されているので、費用がかさんでしまいます。
人気だからと言って、南向きの部屋に飛びつくのではなく、生活をよく考えた上で選択することが大切ですよね。
物件をお探し中の方で、やっぱり南向きがいいのかなと悩んでいる方は、実際に物件に足を運んで日当たりを見ながら検討してみてはいかがでしょうか。
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